研究設備

材料合成

我々の研究室では、セラミックス材料の合成法として最もスタンダードな固相法を中心に、各種二次電池材料の合成を行っています。

1. 各種電気炉
Furnace
大気雰囲気での焼成に使用するマッフル炉以外に、雰囲気制御が必要な材料の合成には、管状炉を使用します。通常の炉心管以外に、試料を一度も大気に触れさせずに焼成するための炉心管やフランジも独自に設計して使用しています。
2. 遊星ボールミル:FRITSCH P-6, P-7, Premium line P-7
BallMill
主に固相法でセラミックス材料を合成する際の、原料の混合および粉砕に使用します。気密性の高いポットを使用することで、大気と反応する材料のミリングも可能です。

分析機器

合成した材料のキャラクタリゼーションや、電気化学反応後の材料の構造、組成および形状変化を捉えるには、各種分析機器は欠かせません。研究室で所有している分析機器はいずれも一般的なものではありますが、雰囲気制御用の試料ホルダーなど電池材料の分析に必要な環境を一通り整えています。

3. X線回折装置:Rigaku RINT 2500
RINT2500
高出力18 kWの回転陰極型X線源を持つXRDです。X線源1基に対してゴニオメーターを左右2基備えており2サンプル同時測定が可能です。
4. X線回折装置:Bruker D8 Advance
BrukerD8Advance
エネルギー分解能の高い一次元高速検出器を備えており、高速測定においても高精度、高S/N比の回折データの収集が可能です。また、X線管球交換が容易で、X線源をCo管球やMo管球に交換して使用しています。
5. 電界放出形走査電子顕微鏡:Hitachi S-4800
FE-SEM
各種材料の表面形態の観察に使用します。10 nm程度のナノ粒子まで観察が可能です。また、EDXを備えており元素分析も可能です。
6. イオンミリング:Hitachi IM4000
IM4000
アルゴンイオンビームで、SEM観察する試料のミリングを行う装置で、電極の断面観察等に威力を発揮します。試料を大気に開放することなくミリングを行い、そのままSEMに移動可能なサンプルホルダーを備えており、大気に不安定なリチウム金属や充放電試験後の電極の断面観察が可能です。
7. in situ FTIR:Nicolet iS50R FT-IR
FTIR
赤外分光法により、電解液等の有機材料の分析に主に使用しています。独自に開発したin situ FTIR測定セルを使用することで、電池の実作動条件下における電解液の分解挙動の解析が可能です。
8. ICP-OES:Agilent 700 Series ICP-OES
ICP-OES
リチウムやナトリウム等のアルカリ金属元素は高温で揮発しやすいため、合成中に組成が変化してしまうことが頻繁にあります。また、充放電中に電極材料中の金属イオンが電解液に溶出する可能性もあるため、材料合成や電極評価について組成分析は欠かすことのできない分析です。
9. 熱分析装置:Rigaku Thermo Plus DSC, TG-DTA
DSC-TG-DTA
相転移に伴う熱の出入りや、酸素欠損による重量変化など、熱分析は材料合成の際の焼成条件を決める上で重要な指針を与えてくれる測定です。

雰囲気制御

多くの電池材料は大気中の酸素や水と反応しやすいため、不活性雰囲気で使用する必要があります。

10. グローブボックス:美和製作所
GloveBox
不活性のアルゴン雰囲気での作業を行うためのグローブボックスです。我々の研究室では、実験の目的に応じて数台のグローブボックスを使い分けており、全てのボックスが露点-80 ºC以下に保たれています。
11. オープンドライチャンバー:ダイキン工業 HRG-60AR
DryChamber
酸素に対しては安定な材料の取り扱いは、多くの場合ドライルーム環境で充分です。チャンバー内は露点-60 ºC以下に保たれており、リチウムイオン電池の製造現場と同等です。グローブボックスと異なり、直接手を入れて作業ができるため、作業効率が格段にアップします。

電気化学測定

12. 電気化学測定装置:Solartron 1268W, Biologic VMP-3等
Solartron
サイクリックボルタンメトリーや交流インピーダンス法といった電気化学測定を一通り行うことが可能です。
13. 充放電装置:北斗電工HJ1001SD8, Nagano BTS2004,東洋システム TOSCAT3100
Charger
コイン電池、ラミネート電池等を試作した際の評価を行います。研究室でトータル300 ch程度保有しており、多くの評価を同時に行うことが可能です。また、各種恒温槽も数多く揃っており、様々な温度条件下での測定が可能です。